大阪近鉄バッファローズとオリックスブルーウェーブの合併問題に、思わぬところから横槍が入った。
近鉄買収に名乗り IT企業のライブドア、表明へ
(06/30 01:32 asahi.comより)
これを受けて近鉄の山口昌紀社長は「売却はない」とコメント、読売ジャイアンツの渡辺恒雄オーナーは「(球団経営は)金があればいいってもんじゃない。オレの知らない人間が(プロ野球界に)入るわけにはいかんだろ」と一蹴した。
このニュースを聞いてボクは呆れたわけだが、その話は後にして……。まずはライブドアの堀江貴文氏が下手を打ったなと。ことの流れは、ある証券会社から近鉄買収を持ちかけられ、応じたが話が立ち消えになった。ところが近鉄・オリックスの合併話が明らかになったので、買収の意思を改めて表明したということらしい。
つまり、人を介して買収の話をしていて、合併話が浮上したら直接交渉したという経緯が下手であったと言わざるを得ない。プロ野球界は相も変わらず旧態然とした体質で、そのオーナーの頂点にはナベツネがいるという構図。つまり球界全体が「老害」に蝕まれているのである。人間、年を取ると何に固執するか。「メンツ」である。堀江氏は老人衆のメンツをつぶす2つのことをしたのだ。
1つは近鉄に対して。人を介しての交渉など、球団を投資対象としてしか見ていないのを示したようなものだ。金で頬を叩けば、年間40億円の赤字を出す球団を手放すだろうという目論見は甘かった。もう1つは、根回しの失敗。ナベツネの「オレの知らない人間が……」という発言のくだりがよく表している。つまり、知った人間になってから交渉をすべきだったのだ。お年寄りにはヒザを屈して、菓子折りのひとつでも手にして、ご機嫌伺いに何回も足を運ぶべきだったのだ。そしてナベツネの肝煎りで各球団オーナーにご紹介してもらい、外堀を埋めたら近鉄に交渉話を持ち込む。新規参入には、こうした手順があったはずである。現に「オレのよく知らない」リース会社に阪急が身売りしたり、「オレの事業のライバル」であるテレビ局に横浜の株を売る承諾をしているわけだから。
結局、そういうご老体の「メンツ」を丸つぶれにした31歳のITベンチャー若社長には、お年寄り衆は入ってきてほしくないのである。若造、何するものぞ、と思っているのだろう。こんな状態だからファンが離れ、特にパ・リーグは収益を思うように上げられないわけだ。それはそうだろう。球団経営を牛耳っているのが年寄りなんだから。若いファンなど呼べるわけがない。もう、こうなったら一旦プロ野球界は崩壊してしまえばいい。グズグズになって、それでも野球を観たいと思えば自然と道筋は見えてくるものだ。そろそろご老体が浄化される時期に来ているのだと、ボクは思う。プロ野球界も政界も、日本の会社社会も。