いささか時期を外した感があるけれど、買ってしまったので感想をば。
まずは『スキージャンプ・ペア』(オフィシャルDVD)から。
ご存知のとおり、スキージャンプのペア版(仮想)が競技として冬季オリンピッグ(?)に正式採用となり、ワールドカップも開催され……というものを、マジメに大上段にCGを駆使し、面白おかしく実況していくDVDだ。と、字面で紹介しても、何がなんだかサッパリわからないだろうと思う。そんな諸兄には、ぜひ
オフィシャルサイトをご覧いただきたい。
この「スキージャンプ・ペア」は、2つの要素が両輪として絡み合って面白さが発揮されている。ひとつはCG自体の動きの面白さ。ペアの相手を蹴り落としてみたり、スキー板でぐるぐる回転して空飛んでみたりと、いま流行の「ありえね~」映像が笑わせてくれる。大マジメに、実在しそうな中継のオープニングなどを作りこんである姿勢も買えます。
もうひとつの面白要素は、実況担当の千葉レーダ・茂木淳一氏のナレーションと、数人の解説者(代表の真島氏も登場)のコメント。後半ちょっと遊びすぎてしまった感はあるが、前半のスポーツ中継アナさながらの抑えられたトーンのナレーションは秀逸。それでいて、話している内容と描かれている映像の滑稽さ、このギャップが本DVDを面白たらしめているのだと思う。
トリノ・オリンピッグ中継から始まる競技ジャンプは、無駄なく冗長にならず、非常にまとまった作品といえよう。特典映像は不要だったかもしれない(なぜか作者の真島氏はハトポットにこだわっているようだが)。高らかに爆笑できる面白さというよりは、ニヤリと後からボディブローのように効いてくるおかしさがある。一見の価値ありの作品だ。
一方、『スキージャンプ・ペア2』(オフィシャルDVD)だが、こちらは少し感心できない。
さながらテレビの五輪中継を意識したように、スキージャンプ・ペアW杯最終戦のスタジオ風景から始まる。ナビゲータにはスキージャンプの元選手・荻原次晴と、avex所属の歌手・佐田真由美。この起用自体は、とくに不満はない(なぜ佐田? それはavexのDVDだからというノリツッコミはあるが)。ただし、スタジオトークが不自然なほど長い。こういうものは、サラッとリアルさを出すオマケとして使うのがよいわけで、だらだらと長話されても困る。
そして本編だが、ジャンプの内容やCGが「1」と変わらないという点に疑問が残った。ジャンプ台のイメージ映像は、ドイツの設定のはずなのに白馬みたいだし、引きの風景カットも「1」とまったく同様。選手のグラフィックスにも進化が見られなかった。単なる「1」の残りネタを集めて、小細工を施して冗長にしたパッケージ、という印象を受けた。
映画でもそうだが、往々にして第2弾というのは失敗するケースが多い。実況の茂木氏も遊びすぎて、微妙に笑わせようという意気込みが空回りしている。オゲレツジャンプも、これはこれでアリなのかもしれないが、この作品にとってはマイナスでしかなかった気がする。
最後に、これは「1」「2」共通して言えるのだが、日本選手(原田・大石ペア)のジャンプが非常に地味。とくに「2」に至っては、なぜこのジャンプで優勝?(ネタバレ?)と首を傾げざるをえなかった。「甥っ子」ネタ、「玉」ネタなど、どうも1ネタにこだわりすぎる嫌いがあるのも微妙。